人物・動物・家型などの埴輪レプリカが並べられた今城塚古墳。
6世紀前半の築造で、継体天皇の真の陵墓と考えられる。
第22番「総持寺(そうじじ)」
第21番「穴太寺」で痛めた右足の腫れが引かず、ほぼ一か月思うように歩けない状況が続いた。本日、意を決して痛み止めを呑み「総持寺」にやってきた。
寛平2年(890)公卿で料理の名手、中納言藤原山蔭(やまかげ)が開いた古刹で、正式には補陀落山(ふだらくさん)総持寺という。
例によって、白洲正子さんの「西国巡礼」から少し引用する。
「平安朝には盛んな寺だったが、織田信長の兵火により、七堂伽藍ことごとく灰に帰した。一度は再建されたが、明治維新に寺領を召し上げられ、現在は工業地帯の真ん中に、わずかに余命を保っているにすぎない。山蔭中納言の墓というのも、阪急電車の線路を越した向こう側に残っているが、手足をもがれた格好なのは気の毒である。」
「山奥の寺は、さびれていても周囲の環境にしっくりして、安定したものがあるけれども、寺内は清潔に整って掃除も行き届いているのに、総持寺にはなにかそういう安らぎがない。もっともこれは私だけが思ったことなので、当てにはならないが、三十三カ所の中では、一番さむざむとした印象を受けた。なにか場違いという感じがした。」
寺の縁起によると、山蔭は幼き日に継母のたくらみで淀川に落とされた際、父の高房が観音様の縁日に助けた大亀に命を救われた。それに感謝して、観音像を祀る総持寺が建立されたという。本尊「千手観音菩薩」が亀の背中に乗っているのも、境内にある庭園の池に愛らしい亀が甲羅干しをしているのも、この縁起に由来している。
総持寺を足早に辞去した後は二つの継体天皇陵を目指しして2時間ほど歩き続けた。9月末日というのにこの日は最高気温が32度に上がり、足の痛みは薬で何とか持たせたものの、汗がとめどなく流れ続け、脱水症状になりかかった。
継体天皇はその名が示す通り、他所からきてひつぎの位を継いだ天皇ということだが、詳しく書くには学識が乏しいし、何より皇統に触れることなので、簡単に書くにとどめる。
日本書紀によれば、継体天皇は応神天皇五世の孫で幼いころ「ヲホドノオウジ」と呼ばれていた。父は彦主人王(ひこうしのおおきみ)と言い、海彦山彦の山彦の末裔とされる。祖父は「乎非王」と書かれていて、正体がわからない。
彦主人王は近江高島郡三尾の地を領していた。一方、越前の三国には、垂仁天皇七世の孫に振媛という美女がおり、「顔きらきらして、甚だうるわしき色あり」と聞き、彦主人王は使いをやって妃に迎えた。その間に生まれたのがヲホドノオウジである。
ヲホドノオウジはここで生まれ、ここに父を葬った後、振媛とともに越前の三国へ旅立った。
近江の三尾には何度か行ったことがあるが、安曇川のデルタ地帯にはかつて渡来人が多く住み、「稲荷山古墳」が彦主人王の墓と伝えられていることを最近知った。
<参考資料>
西国巡礼(白洲正子)講談社文芸文庫1999年
古典の細道(白洲正子)講談社文芸文庫1994年
阪急総持寺駅から総持寺を目指す。
途中、大豪邸に遭遇した。
亀の背に立つ石標。
実は、龍の産んだ子で「龍亀(ろんぐい)」との説。
池では亀が甲羅干しをしている。
下の段が池泉庭園で、上段に枯山水がある。
水向地蔵は、皆様の供養される心を、水に乗せて、亡くなられた方のもとへ送られるとのこと。
総持寺を出て歩くとすぐ風情のある神社に遭遇した。
磯良(いそら)神社という。
神社を出て、二つの名前があることがわかる。
多分疱瘡などに効く霊水だったのだろう。
最初の継体天皇陵に到着。
宮内庁ではここを継体天皇陵と比定している。
二つ目の継体天皇陵。
一つ目の遙拝所からここまで徒歩40分かかった。
円筒埴輪が6000本も埋まっていたとのこと。
そのほかにも排水施設など驚愕の事実が…
前方後円墳のレプリカ。
こういうもので勉強できる小学生がうらやましい。
崩れ石積みの土台の上に、豪邸が建つ。
この周辺にはこの手の豪邸が多いようだ。
仁王門をくぐるとその先に本堂が見える。
大変広々とした境内。
上段の枯滝石組み。
蓬莱石と見える大石が一番高いところに据えられている。
本尊の千手観音は秘仏で、毎年4月に御開帳。
お前立の「子育て観音」はいつでも拝める。
昔から清水が湧いているようで、神社に断れば分けてもらえるようだ。清酒の名前のような…
この万博パビリオンのような建物は何だろう。
追手門学院大学の施設のようだ。東芝工場跡地?
継体天皇陵の遙拝所。
まずは拝むことから始まる。
小学生向きに楽しい解説付き。
長居したかったが、ここまででくたびれた。
陵の中にも入れるようなので、行ってみた。
案内板1~3がある以外は、特に変わったものはない。
道に迷って一句。
駅に戻る道に迷って曼殊沙華
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